「革新」
古くからの習慣・制度・状態・考え方などを新しく変えようとすること。
高知県立美術館で上映された2本のドキュメンタリー映画。
「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」と
「ヴィダル・サスーン」。
フェラン・アドリアとヴィダル・サスーン。
料理界と美容界それぞれに革新をもたらした2人。
2人とも先進的なことを成し遂げそれぞれの領域を芸術の域にまで
引き上げた偉大な才能の持ち主である。ただ時代や分野は違えど
共通している点があった。
それは確かな技術の上に日々基礎基本を積み重ねていくこと。
テーブルクロスにアイロンをかける、掃除を完璧にする、店に立つ靴を磨く。
当たり前のことを当たり前にやる。
そして優秀なチームを持っていたこと。どちらもチームであったから
成し遂げられたことでもある。ただそれもチームを組織する能力や情熱、
リーダーシップをもち、カリスマ性を発揮したからに他ならない。
彼らは決して妥協をせず、リスクを恐れない。
映像の中で印象的だったのは
「エル・ブリ」のチームはひとつひとつの素材に対して真摯に向き合い、
より良く、より新しい味わいを導き出すために用いられる全ての調理法
を試し、可能性を見出そうとしており、それが真空調理や液化窒素を用いた
調理法にたどり着いたのだということ。
事細かに撮影し、デッサンやレシピを記録し整理する。フェランは創造(試作)
と調理は違うものであり、創造とはデザインだと言っていたがその一皿を完成に
導く工程はなるほどデザインだと感じることができた。
そしてチームスタッフはそれぞれ自分のアイデアやプライドをフェランにぶつけるが
最終的にはフェランの舌に絶対的な信頼をおいている。
※エル・ブリは今後(2014年より)料理研究財団として活動し、その研究成果
はネットで配信される。
ヴィダルは客の要望ではなく、美容師として自らカットの提案をするスタイルの礎を築き、女性のヘアスタイルを自由へと解放させた人。そして、美容院というただの場所をひとつの世界観をもったサロンへと変貌させ、ひとつのブランドにまで昇華させた人である。そして美容学校を設立しその技術を世界に広げ、新しい時代を切り開こうとしてしていた。(それはフェランにも通じることでもある。)
なによりセルフプロデュースに長けていて、大きなエネルギーと人を掌握する力を持って
いたのだと思う。なんとなくスティーブ・ジョブスにも感じるそのカリスマ性や発するオーラがとても魅力的だった。この人の存在を知れたことはとても意義がある。
新しいことが全てではないし、独創的なことはできないかもしれないけれど、
成し遂げたいことへの挑戦をしているかどうかを日々問い続けていきたい。