<ヨキコーヒーとは>

ヨキコーヒーは今の所、僕個人が自家焙煎珈琲屋として活動する時の名前です。
今後はお店として開業すればお店の名前、つまり屋号になるわけですが、
ではなぜ<ヨキ>かというところも含めて書きとめておこうと思いました。

ヨキ(joki)というのはフィンランド語で「川」を表します。

珈琲屋として活動するときに名前が欲しかったので、あれこれと考えました。
その時に決めていたのは「○○○コーヒー」にするということ。

単純に分かりやすいという理由もありますが、自分自身への宣言でもあります。
それは自分は珈琲屋であるということです。

きっと自分の性格上いろんなことに手を出したり、飽きたりして道を見失います。。
そんな時お前は珈琲屋だろっとつっこみを入れてくれる言葉です。
そして、一番のミッションは何はともあれおいしい珈琲を作り、
おいしいを届けるために最大限自分ができることをするのだと。

僕が住んでいる町は標高は250mとそれほど高くはないですが、
山に囲まれた小さな町です。いわゆる高知県の中山間地域に位置しています。

この町に来た理由はいろいろとありますが、一つは「自然」に近いということ。
とは言え僕は自然が好きなわけではありません。アウトドアというよりインドアですし、
若いころからずっと都会を追い求め、流行を追い求めてきたシティボーイ(死語)です。

じゃあそれがなぜ?と考えると
ただ単純に「自然」というものを知りたかったのだと思います。
あまりにも自然を知らずに生きてきたから。

ただここで言う自然というのは僕的にはけっこう広義な意味があって、
もちろん「山」「森」[川」[海」とかの自然もありますが、僕が追い求めてこなかったもの。

例えば「地方」や「田舎」、「農業」とか「自給自足」とか、
街ではなくて町の成り立ちやインフラとかも含んでいます。

そもそもの人の暮らしって何?本来の然るべき姿って?みたいなところへの疑問です。
(もっと言うと生きるって何?みたいなことになってしまうのでそれはやめにします。)

また話がずれましたが、名前の話です。
ネーミングって悩みますね。子供の名前なんて本当にこれでいいのか悩みました。
(でも声に出して、読んで、呼んでいくうちに命が宿るもんなんですね)

まずは好きな言葉とか好きな曲とか人とか考えてみるわけですが、せっかく自然の近くに
いるのだからそれにちなんだものにと思い直しました。
それでこの町で一番特徴的な自然なものってなんだろうと考えたとき、
まっさきに浮かぶのは「山」や「森林」です。まわりにはこれしか見えませんから。。
あとはこの町のブランド米「天空の郷」という名前にある通り「空」も近くに感じることができます。

ではなぜ「川」か。

本山町は縦に長い長方形をしていて、その南部の東西を貫くように
吉野川という大きな川が流れています。
吉野川は昔は鮎や鰻が取れる清流だったようですが、
ダムができてからは四万十川ほど清流ではなくなってしまったようです。
でも都会の川ほど汚れているわけでもなく、良く見かける枯れそうな川とも
違って水量もあるし雄大で立派な川です。

それはなぜかというと本山町を取り囲む山々から流れ出る支流といわれる
いくつもの川が支えているからです。
そして、これらの支流はとてもきれいな清流で山に暮らす人たちの生活も支えてくれています。

「川」って「水」なんですよね。(当たり前の話ですが。。)
人が生きる上で必要不可欠な「水」。
でも水って蛇口をひねって出てきたり、
ペットボトルに入ってたりするものだと思ってたりするわけです。
また空気と同じようにあって当たり前に思ってたりもするわけです。

そして、川というのは山と海をつなぐものなんですね。(またまた当たり前の話ですが。。)
だから山の中でごみを捨てれば川を流れて海に流れ出るわけです。
森林を間伐などで保全することで海の環境も改善されるなんて話も良く聞きます。
小学校で習った「海でできた雲が山についたら雨になって川を流れて海にでる。」
つまりすべてはつながっていてそれをつないでくれているのは川なんです。
昔は山で伐った木を川に浮かべて、徳島の鳴門の方まで流して海を渡って
大阪まで運んだなんて気の遠くなるよう話も聞いたことがあります。

コーヒーは水がなければ飲むことはできません。
もっと言うと珈琲豆は外国の山の中で作られて、はるばる海を渡って日本にやってきて、
それを焙煎して、とまたまた気の遠くなるような一連の流れがあって飲むことができます。

自分がやろとしている珈琲屋というのは、その流れを担っているのだと(ほんの一部ですが)
感じた時、あぁ「川」になりたいなあと思うわけです。しかも清流に。清流の方がおいしそうだし。
大きくなくても穏やかな川の流れのように。

で最後になぜフィンランド語かというと北欧とかあの辺りが好きなんですね。
(なんで北欧かなんて話もいつか書きたいと思いますが)
フィンランドで言えばAlvar AaltoとSnufkinが好きです。

それ以前に根っからの舶来主義でもあり、異言語や異文化に触れるとゾクゾクしちゃう体質です。
ま、簡単に言えばミーハーなんですけどね。

そんなこんなで<ヨキ>は<良き>。
良きコーヒー。

GOOD DESIGNとかGOOD MUSICとはちょっとニュアンスは違うし、
ちょっと古風な言い方だけどなんかいいなあ思ったわけです。

たかだか名前の説明するだけでどうしてこんなに長いことになるんだろう思いながらも、
考えが整理されたし、(いやある意味散らかったままだけど)それもよきことかな。

 

thought < joki coffee >
Sat 2, Feb 2013
category: Shop